(ほぼ)すべて東京産食材のお店
と、言いましても残念ながら弊店のことではありません。
私が家族とよく食事に行く押上のお好み焼き・もんじゃ焼きのお店「よしかつ」さんです。
今話題のスカイツリーのおひざ元にありますこのお店、私の大好きなお店の一つなのですが、下町の普通のお好み焼き屋さんとはわけが違います。
タイトルにも書いた通り、お店で扱っているほぼすべての食材・調味料・お酒に至るまで、東京都または江戸前産なのです。
前菜等で出される野菜は、みな東京都産。この日は、江戸から続く伝統野菜の一つ、三鷹産の寺島茄子を大島産椿油で焼いて出してくださいました。手作りのお豆腐も大豆が東京都産なのはもちろん、にがりや塩も八丈島の南西にある青ヶ島産です。
お刺身も種類が豊富ですが、これもほぼ江戸前産。山葵も奥多摩産なら、お刺身のつまに使われる大葉や赤芽までも東京産です。
お好み焼き・もんじゃ焼きの主原料である小麦粉も、当然東久留米などの多摩産です。日本酒も東京都下の蔵元から、焼酎は伊豆七島や八丈島・青ヶ島産を取り揃えています。
メニューを見ていて、思わず笑っちゃうほど全て東京都産なのが、ここ「よしかつ」さんなのです。これだけの食材を集めるのは、本当に大変なはずです。身近なところでこんなにも沢山の食材が作られているのかと毎回驚かされ、ご主人・佐藤さんのこだわり、思い入れには、行くたびに圧倒されています。
奇しくも、今TPP問題で日本の農業の将来について議論されているさなかですが、これからは「地産地消」「在来種」「伝統野菜」といったキーワードがよりクローズアップされてくるのではないでしょうか。「フードマイレージ」といった考え方もより重要になってくるようにも思います。
もちろん、東京都産の食材だけで、東京都民すべての食を賄うことはできません。でも、大量生産や利便性などとは違う次元で、守っていかなければならない食の文化があるように思います。よしかつさんで江戸の人々が大切に育て守ってきた地元の伝統野菜をほおばるたびに、江戸の人たちの暮らしぶりやこれからの食の在り方について思いを馳せています。