取材など
2007年11月25日

大七酒造さんに見学に行ってきました

11月の三連休を利用して、福島県二本松にある大七酒造さんに見学に行ってきました。

ここ数日の冷え込みで雪化粧をした安達太良山と阿武隈山系に囲まれ、近くを阿武隈川が流れている、美しい自然と良質な水資源に恵まれた場所に大七酒造さんはありました。創業は宝暦二年(1752年)、今年で225年目になり現在の当主で十代目になるそうです。この日は、ちょうど今年仕込んだお酒の初絞りの日でした。

大七といえば、「生酛(きもと)造り」です。生酛造りとは、昔ながらの正統的な醸造法で、熟練の専門技術と手間と時間を必要とするため、今では大七を筆頭に数蔵しか行なっていません。ですが、その類まれな技法によって生み出されたお酒は、さらに他の酒蔵よりも熟成期間を長くすることでより一層の深みを増して、唯一無二の大七ならではの美味しいお酒がここに誕生するのです。特に、あさだでも大変人気の「純米生酛酒」は、燗にすることでさらなる味のふくらみを見せ、「燗にして美味しいお酒日本一」にたびたび選ばれているほどです。

また、より洗練された味を引き出すための独特な「超扁平精米」技術や、麹室を四つも持っているところ、二段階に分けた仕込みタンクの使用、出来たお酒を空気に触れることなく瓶詰めされる「無酸素充填システム」などなど、大七独自の高度な技術が酒造りの様々な場面で駆使されていました。

その一方で、一昨年7年がかりで完成した新社屋には、いたるところに旧酒蔵の木材が使われています。特に生酛造りの心臓部「生酛室」の壁面は、旧酒蔵の生酛室の壁板がそのまま使われていて、酒造りに使用する木製の様々な道具も昔からの物が大切に残されています。それらに付着している微生物が、蔵付き酵母として大七ならではのお酒を文字通り醸し出しているのだそうです。

大七酒造さんとは歴史も規模も比べものにもならないあさだではありますが、同じように江戸時代からの伝統技術を継承していく者として、その先人からの叡智を大切に受け継ぎながらも、現状に甘んじることなく革新を続けていく姿勢には、感動にも近い多くの学びを頂いた今回の酒造見学となりました。

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