蕎麦
2008年11月16日

料理教室で蕎麦打ち指導

日頃お世話になっている裏千家茶懐石料理教室“幸菜庵”さんで、半日手打ち蕎麦の先生をしてきました。教室を主宰されている先生にも生徒さんに交じっていただき、総勢12名の賑やかな蕎麦打ち会です。

一般の方に蕎麦打ちをお教えする時に一番難しいのが、最初の行程である“水回し(通称・練り)”です。特に、ちょうど良い柔らかさになる様、粉に加える水の量を決めていくのは、我々プロでも最も神経を使うところです。通常、お店では2kgの粉に対して許される加水量の誤差は±2ccぐらいでしょうか。それを一般向けに500グラムの量でやるとなると、ストライクゾーンはかなりの狭さになります。そこを何とか、失敗の少ない方法をお教えしやってみると、生徒の皆さんは日頃から茶懐石料理や和菓子を作りなれている方ばかりなので、とても筋がいい。その後の“延し”“切り”も、はじめての方が多い中、皆さん結構様になって、しっかり長い蕎麦に仕上がりました。

お店でよくお客さまから、自宅でお蕎麦を打つとぼろぼろに切れてしまうけど、という質問を受けます。それは、最初の“水回し”の不手際と、“延し”の行程での力をかける方向の誤解に原因があります。前方向に引き伸ばすのではなく、回転する麺棒を通して真下にプレスしなくてはいけない。その真下方向に力をかけるという要諦を、先人たちは“蕎麦を打つ”という言葉で表現し、後世の我々に伝えてきて下さったのだと思います。

教室の最後は、打ち立ての蕎麦の試食をしました。前日に挽き立ての粉を使っての蕎麦がきには、皆さんその風味と食感のよさに驚いて下さいました。毎日のお店での緊張感みなぎる蕎麦打ちにも充実感がありますが、こういった楽しい蕎麦打ちは本当にいいものです。参加された生徒さん方も喜んで下さった様子でしたので、ホッと胸をなでおろした一日でした。

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